■王とメイドの切ない恋物語■
「それはそうと、リリア、実はね…」

エリザベス姫の顔が赤くなる。

なになに?

エリザベス姫、いつもと様子が違うよ。

「エリザベス様、何かあったんですか?」




少しの沈黙の後、照れくさそうに口を開いた。

「うん、実は…、幼なじみのミランに告白されたのよ」

そうだったんだ。

エリザベス姫、可愛いもんね。

根はいい人だし。

ミランって、どんな人なんだろう?

エリザベス姫は、ミランのことを考えているのか、遠くを見つめる。

「ミランって、キザで、おせっかいで、いつも喧嘩ばかりしてたんだけど、まぁ…結構いいとこもあるのよ」

あ、エリザベス姫、すごく嬉しそうな顔してるよ。

そうなんだ、ミランさんって、いい人なんだ。

幼なじみなら、エリザベス様のよき理解者になってくれるはずだよね。

「エリザベス様、顔がにやけてますよー」

エリザベス姫を、ツンツンしてみた。

エリザベス姫は、真っ赤になって

「もー、うるさいわね。仕方ないでしょー。…絶対幸せにしてくれるって言うから、しょうがないから、付き合ってあげることにしたわ」


そう言うエリザベス姫の顔は、とても幸せそうだった。

今の私と、同じ顔してるね。

「エリザベス様、おめでとうございます」

「ありがとう、リリア」



私たちは、手すりに寄り掛かったまま、空を見つめる

「リリア。私達・・・、たくさん幸せになれるといいわね」

「はい。お互いがんばりましょうね」

私達は、笑顔でテラスを後にした。

< 273 / 396 >

この作品をシェア

pagetop