■王とメイドの切ない恋物語■
トーマ様の前では、平静を保っていたが、心の中ではスキップしたいくらい、ウキウキしていた。


本当はトーマ様に腕をからめて、ほら、あっちに綺麗な花があるよーとかって、はしゃぎたいよ。

でも、まだそんなことしていいか、自信が無いっていうか、何ていうか。

でもいいんだ、こうやって2人きりで散歩してるだけで、十分幸せだから。



そんな時、

「リリア、まだ、かなり遠慮してるだろ?」

トーマ様が、ポツリと言った。

ドキッ

ばれちゃった?

態度に出てたかな?

私は正直に話した。

「はい、トーマ様は王様ってイメージが強いので、どうしても遠慮してしまいます…」

それを聞くと

「やっぱりそうだよな…」


と、トーマ様はうつむいてしまった。

もしや、私がこんな態度だったから、落ち込んじゃった?

私なりに、なるだけ自然に接するように、してるつもりだったんだけど。

これじゃ、前までと一緒だよね。

せっかくこうやって、お互いの想いが確認できたっていうのに。

このままじゃ、ダメだよね。

うん、私が変わらなきゃ。


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