■王とメイドの切ない恋物語■
お母さんは、しばらく考え込み、そして、顔を上げて、私を真剣な眼差しで見つめた。

「いいじゃない、やってみれば。ちゃんとリリアって書いてあるし。神様が与えてくださった、チャンスかもしれないわ」

お母さんったら、すごく前向き。

でも・・・。

この平凡な毎日が、ガラッと変わるかもしれない。こんなチャンス、滅多にないよ。無駄にしても、いいわけ?

勇気だそうよ。ね?変わってみようよ。

「うーん・・・。そうだね!私、がんばってみるよ」

この時の私は、まさかこのお城で、運命の人に、出会うだなんて、まったく気が付いていなかった。


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