■王とメイドの切ない恋物語■
ふっと目を覚ますと、トーマ様が、ベッドの隣に座っていた。

「びっくりした」

私が笑うと、

「リリアが、寝てると思って、ノックしなかったんだ。ごめんな」

トーマ様が、少し申し訳なさそうな顔をした。

「いいの。また来てくれてありがとう」

私が、トーマ様の手をにぎるとトーマ様は、笑顔になった。

「さっき、チチリが昼食を持ってきてくれたぞ。一緒に食べよう」




テーブルを見ると、料理が並べられていた。

真ん中のかごには、フルーツが何種類か入っていた。

「ああ、それか?エリックの所に行ってもらってきたぞ。風邪にはビタミンCが1番だからな。心配してたから、元気になったら、顔を見せてあげろよ」

「うん」

2人で昼食を食べ、また少し寝た。



夕方には、すっかり元気になっていた。

「トーマ様、本当にありがとう。トーマ様のおかげだよ」

「俺は、リリアの元気な姿が見れれば、それでいい。いつでも看病するさ」

「うん、ありがとね。私も、いつでも看病するから」


トーマ様は、笑って頷いた。

「あ、リリア。そう言えば、今日の会議の休憩中、大臣たちが、リリアの噂をしてたぞ」

「へ?私の?」

なになに?



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