■王とメイドの切ない恋物語■
「あの働き者のメイドの子、今日は見ないが、どうしたんだろうってさ。リリア、みんなに人気あるんだな」

え?そうなの?

私って、そんなに知られてたんだ。

なんか、普段のがんばりが、認められた感じがして、うれしかった。

「この仕事が好きだから、一生懸命頑張ってるだけなんだけどね」

「いいことだよ。俺の秘書も、リリアは頑張り屋さんだから、見習わなきゃって、前に言ってたよ」

よかった。

みんなにそう思ってもらえると、これからも頑張ろうって思えるよ。

「よぉーし!やる気出てきた。明日からも、バリバリ働くぞーっ」

私が、ガッツポーズしていると、トーマ様は笑って

「リリア、本当、面白いな。体壊さない程度にな」

と、私の額をツンとした。

「うんっ」

「じゃあまた、来週の火曜にな」

ん?私は首をかしげる。

「来週の火曜って?」

トーマ様は、仕方ないなーという顔をした。

「リリアの誕生日じゃないか。馬小屋集合、忘れないように」

あぁ、そうか。来週の火曜だったね。

「はーい」

そう言うと、トーマ様は笑顔で片手を上げ、帰っていった。

そうだった。

来週、いよいよ19歳の誕生日だ。

トーマ様と、お祝いできるなんて、最高。

ああ、生きてて良かった。

早く来週にならないかなー。



私は、誕生日のことを考えながら、ルンルンでシャワーを浴びた。

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