■王とメイドの切ない恋物語■
トーマ様は、まっすぐに、私を見つめる。


「リリア」

「はい」

緊張が走った。




次の瞬間、

「結婚しよう」




!!!

私は、驚いて声が出ない。


時が、止まる。




トーマ様は、私の手を取る。

「俺は、この国の王だ。きっと結婚したら、リリアに大変な思いをさせることもあると思う」

私は、真剣に耳を傾ける。



「でも…俺は、これからも、ずっとリリアと一緒に生きていきたい。俺がリリアを幸せにしたい」

トーマ様の、一言一言が胸に響く。

そして、トーマ様は、真剣な顔で私を見た。



「リリア、愛してる。結婚しよう」







「はい」




私たちが、本当の意味で、結ばれた瞬間だった。



私は、嬉しくて涙が止まらない。

トーマ様が、優しく涙をぬぐってくれ、私の左手を優しく持った。

そして、夕日に照らされて、美しく輝く指輪を、私の薬指に、はめてくれた。


トーマ様も私も、自然に笑みがこぼれる。

指輪を見つめ、すごく嬉しくなる。

トーマ様と私、結婚するんだ。

そして、ふと見上げるとトーマ様と目が合った。




2人の距離が、そっと近づく。

私たちは、今までで、1番優しい口付けを交わした。



その瞬間、最後のオレンジの光が、西の地平線に沈んでいった。

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