■王とメイドの切ない恋物語■
何から話そう?

私が考えていると、トーマ様が立ち上がった。

「お父さん、はじめまして。私はトーマ・ガーランドと申します」

そうだよね。

あの、トーマ様が家出して、家に来たとき、お父さんいなかったもんね。



お父さんも立ち上がり、トーマ様と握手する。

「リリアの父です。トーマ・ガーランド?なんか聞いたことある名前だな…」

お父さんは、考え込んだ。

「あなた、この方は、この国の王様ですよ」

お母さんが、お父さんに耳打ちする。

お父さんは、茫然としている。

そうだよね。

自分の家に王様がいたら、普通びっくりするよね。

ってお母さん、何で、まーくんが王様って知ってるの?

「お母さん、何で…?」

「あら、リリアには言ってなかったけど、お母さん、あれから、ずっとマーヤさんと、連絡とりあっているのよ」


「ええーっ」

「そうだったんですか」

トーマ様も、少し、びっくりしているみたいだ。

「お母さん、何で教えてくれなかったのよ」

私が言うと、お母さんは笑って、

「まぁ、いいじゃない。その話は、また今度ゆっくりしてあげるわ。2人で来たって事は、今日は違う話で来たんでしょう?」


うっ!

お母さん、するどい。

女の感ってやつ?

そうだよね。今日は報告に来たんだもんね。

私とトーマ様は、本題に入ることにした。


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