■王とメイドの切ない恋物語■
私は、恥ずかしいので、トーマ様に背を向けて、横になった。

「今日は、ありがとう。すごい嬉しかったよ。これからも、ずっと一緒に、いようね」

私が、トーマ様に背を向けたまま言うと、後ろから、

「ああ」

と優しい声が聞こえ、ぎゅーって抱き締めてくれた。


これ、本当に大好き。

トーマ様に、守られてる感じがするもん。

すぐそこで、トーマ様の吐息を感じる。

なんかドキドキしちゃうよ。

トーマ様は、どうなんだろう?

こうやって2人で抱き合ってるけど、ドキドキとかしないのかな?

私だけなのかな?

「ねー、トーマ様」

「ん?」

後ろから、甘い声が聞こえてくる。


「変なこと聞いていい?」

「変なこと?あはは、何?いいよ」

こんなこと聞いちゃっていいのかな?


「あのさ…、トーマ様って、こういう状態で2人でいる時、どんな気分なの?」

真っ暗やみで、恥ずかしさが鈍るせいか、いつもより深い質問をしてしまう。


「すごい、ドキドキしてるよ」

トーマ様が、私の手を取り、自分の胸に当てた。

「あ、本当だ」

私はトーマ様の方を向き、心臓に耳を当てる。

ドクッドクッ

かなりのスピードで、脈打っている。

そうなんだ。

トーマ様も、ドキドキしてるんだ。

私は、嬉しくなった。


私だけじゃ、ないんだね。



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