■王とメイドの切ない恋物語■
私は、まーくんを、抱きしめたまま


「いいんだよー、リリアの前では、涙がまんしなくていいんだよ」

まーくんは、私の顔を見上げた。

まーくんの切なげな目から、涙があふれてくる。


「リリアはね、悲しい時は、思いっきり泣くの。涙がなくなるまで泣くの。そしたらちょっと気分がよくなって、また頑張ろうって思えるの」

まーくんは頷いた。


「ね、リリアが、まーくんのことぎゅーってして、まーくんが泣いてるとこ、みんなに見えないようにしてあげるから。涙、全部出していいから」


そう言って、もう1度ぎゅって抱き締めた。

まーくんは、私に抱き締められたまま、いっぱい、いっぱい泣きじゃくった。

私は抱き締めたまま、ずっとまーくんの頭を、ナデナデしてあげた。

まーくんはしばらく泣いて、そっと顔を上げた。


そして私を見て、

「リリアちゃん、ありがとう」


そう言った、まーくんの顔は、何かを吹っ切ったような笑顔だった。


私達は手をつないで、夕暮れの道を帰っていった。


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