■王とメイドの切ない恋物語■
トーマ様の部屋に行くのって、初めて。

念のため、最初にもらった地図で位置を確認する。

あと50分か。

別に乱れているわけじゃないんだけど、鏡の前に立って、髪をとかしてみる。


今日は非番なので、胸まである栗色のストレートの髪は、結い上げず、下ろしたままだ。


部屋の中を見渡し、テーブルの上を拭いてみる。


なんだか、じっとしていられない。

ただ、トーマ様の部屋に、クッキー持って行くだけじゃない。落ち着こうよ、私。


時計を見てみる。あと40分。


深呼吸してみる。ふーっ。どうして、こういう時って時間経つのが遅いんだろう。


その後も、5分おきに、時計を見たりして、ソワソワしっ放しだった。



あと10分だ。私はクッキーを持って部屋を出た。



トーマ様の部屋が近くなるにつれて、緊張が高まっていくのがわかる。


5分前に着いた。あと5分ここで待って、時間ぴったりになったらノックしてみよう。


落ち着け、私…。



・・・・。よし!ぴったりの時間だ。


私は1回、大きく深呼吸した。

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