■王とメイドの切ない恋物語■
えっ えーーっ!

トーマ様から話し掛けてくれるなんて、もの凄くうれしいよ。


でもでも、ちょっとまって。このままだと、会話終了して、トーマ様行ってしまうし。

どうしよう、どうしよう。ここは思い切って、クッキー勧めてみる?

・・・。うん、それしかない。


ダメ元で、クッキー勧めてみよう!がんばれ、リリア!行けっ!ファイト!


「あの…トーマ様!実家に帰った時に、クッキーを焼いたんですけど、もしよろしければ、トーマ様もいかがですか?」


トーマ様は、一瞬びっくりしたように、目を見開いた。

あっちゃー、やっちゃった?失敗?だめだった?

私のバカバカバカ…。

でもトーマ様は、すぐに微笑んで、


「ありがとう、リリア。いただくよ。今から簡単な会議があるから、たぶん1時間くらいで終わると思うんだが、その頃に、私の部屋まで持って来てくれないか?」

やったーっ

「はいっ。かしこまりました」


トーマ様は、にこりと笑い、足早に去っていった。


1時間あるので、私は自分の部屋に戻ることにした。

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