【短】エリュシオン
空は梅雨明けをしてすぐに、カラカラに乾き切った晴天。
その眩しくもイライラするほど輝く太陽に、発狂しそうな、そんな昨今。
『いくらなんでも…暑過ぎ。夏なんて大嫌い』
そうやって、私鹿島美緒は、心の中で毒付く。
それでも、外に出るのは。
それでも、こうして灼熱の太陽の下にいるのは…。
すべて。
彼…佐藤慧という、人物のせいかもしれない。
たった一人の、それも自分とは真逆の立場にいる彼には、自分から近寄った。
とあるゲームのせいで。
いや、今はそんなことはどうでもいい。
早く…1秒でも早く、この茹だるような暑さから逃げて、涼みたい。
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