【短】エリュシオン

今日は、心なしか…ソワソワと落ち着かない。



熱風に堪えつつも、クリーム色のロングキャミワンピにシフォン生地のトップスを合わせ、髪型も少し崩した大人風の夜会巻きちっくにして、お気に入りの蝶々の髪飾りをコーデした。


本当はこんな風にお洒落をする必要なんてないのに…。


私は一体何をしているんだろうか?


何かを期待してる?



それとも……少しでも罪悪感から逃れる為の行為なのか…それは、今の私には分からない。


分からないことが、怖い。


たかが、初デート。


されど、初デート。


良く分からない思いを抱いて、私は待ち合わせの時間まで、ぷらぷらと街を歩いた。


流石にいつものようなメイクというわけにもいかず、彼…に見合うような薄い、けれど下地のしっかりしたメイクを施し、ショーウインドウに映る自分を見つめてから、笑顔を作った。



告白した時と同じ。


心臓が、カァーっと熱くなっていく感覚。


これは、熱さのせいだけじゃないだろう。





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