【短】エリュシオン
「はぁー!面白かったー!やっぱりあのシリーズは良かったなぁ…でも、美緒さんはつまらなかったよね?ごめんね?本当に付き合わせちゃって…」
そう、頭をかしかしと掻く彼はとても申し訳なさそうで、私は慌てる。
「えっ!あ…ううん!こっちこそ折角誘ってくれたのに、居眠りとか失礼だったよね…ほんと、ごめん…」
ぺこり、と軽く頭を下げると、その上からくすくすと控えめな笑い声がする。
「そんなこと、ないよ?貴重なもの見れたし」
少しいたずらっぽくそう言う彼は、とても楽しそうだ。
ちくん
また胸がきゅうんと苦しくなる。
何なんだろうか、この感じは…?
「?なんで?」
「美緒さんの寝顔。それに僕の肩におでこをくっ付けてくれたのも嬉しかったし…」
にこにこと微笑む彼に対して、私は開いた口が塞がらなかった。
「え!私そんなことしたの?」
「あ、よだれの跡…」
「うっそ?!」
「ははっ。ウソだよ。美緒さんてば今日はなんだか、色々イメージ違うよね」
「っ…」
その何気ない一言に、一瞬息が止まった気がした。
気付いてるのだろうか?
私が抱えている痛みに……?
でも、そんな私に彼は惜しげもなく優しさをくれる。
痛い。
いたい。
イタイ。
笑って過ごせるこの時間が、永遠に続けばいいと思っているのに。
それはまだ叶うことのない夢
ねぇ?
もしも、私が…。
神に愛されたとして。
死が二人を別つ時…そこに住める楽園があるとしたら…。
私はそれを心から望みたい。