小悪魔王子に見つかりました
兄ちゃんが学校に行けなくなって、家の中の空気までもどんよりしていた頃、
少しでも家の雰囲気を明るくしようと、俺なりに頑張っていた。
兄ちゃんが興味のありそうなことならなんでも、一緒にやってみようと誘った。
だいすきだったから。
また元気になって欲しかったから。
両親への気持ちも同じだった。
不安そうな、悲しそうな顔は、もう、見たくなかった。
子どもの頃の俺はわりと、気に食わないことがあるとなんでもすぐに泣いていじけて。
いや、俺が泣けば兄ちゃんがなんでも譲ってくれて親が兄よりも自分を優先してくれるのをわかっていたんだと思う。
ずる賢いっていうのかな。
そういう、自然と埋め込まれていた弟として周りに甘えられていた部分を、
兄ちゃんがああなってしまってからは、変えていかなくちゃいけないって思わざるを得なくて。