小悪魔王子に見つかりました

あー早く帰りたい。

早く帰ってたくさん姫茉と電話したい。

彼女の声を聞くだけで、疲れが吹っ飛ぶんだ。

姫茉にお疲れさまって言ってもらいたいがために頑張る。うん。

俺のバイトが終わるのが午後6時。
ただいまの時刻、午後4時過ぎ。

もう少しの辛抱だ。

声、早く聞きたい。
明日、早く会いたい。

何だかんだいつも長電話になって、だんだん睡魔に勝てなくなった姫茉が先に寝落ちする瞬間とか、

思い出すだけで癒しになる。

「はー!相変わらず調子乗ってんねー!寧衣!」

っ?!

食事をしている人や商品を注文中の人で溢れかえって賑わっている中から、

聴き慣れた声がした。

気のせいかと思いながらパッと顔を上げると、

そこには、私服姿の羽芽が立っていた。

は。

何してんの。

彼女がここに来ることはよくあることなので、特に驚くことではないけれど。

この時間、めちゃくちゃ忙しいってわかっててよく来れるな。

こっちは一人でもお客さん少ない方が助かるのに。
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