小悪魔王子に見つかりました
そう。
目の前に立っているのは、あの日以来会っていなかった酒井隆一くん。
そして、彼の手をギュッと握った……小さな男の子。
この子がきっと、今日5歳になる樹くん。
人見知りなのか、身体の半分が酒井くんの身体に隠れている。
……かわいい。
「偶然、さっき道で会ったんだ。だからもしよかったら参加してほしいってお願いした」
と口を開いたのは木野くん。
「は、ちょっと待って、なんで?え、木野と酒井くんって別に知り合いでもなんでもないでしょ、全然意味わからないんだけど」
と早口で言う寧衣くん。
どうしよう。
まさかの展開に私もどう声をかけていいかわからなくて、ひとりあたふたしてしまう。
それに、木野くんが酒井くんを誘ったのだって不思議で。
一体ふたりにどういう繋がりが……。
「っ、ごめん。俺も、浅海や最上に合わせる顔ないって、思ったんだ、けど……実は、浅海と会った日に、俺が公園で一緒に遊んでた子供たちの中にいたのが彼の、木野くん?の弟だったみたいで」
「あっ……」
思い出した。
そういえばあの日、酒井くん、公園で子供たちに混じって遊んでたって言ってたっけ。