小悪魔王子に見つかりました

ガラッ

「お、寧衣やっと来た!」

尾崎くんの声がして、クラス中がこちらに注目したのが、俯いててもわかる。

寧衣くんが登校したらクラスのみんなは決まってそうだから。

私は彼の背中に隠れるように下を向いたまま。

「おはよー」

寧衣くんがいつものようにみんなに挨拶すると、あちこちから彼に向けた「おはよう」が飛んできて。

本当すごい人だ、と感心していると、私を隠していた寧衣くんの背中が、私を置いて数歩進んでいった。

あ、ちょっと待って寧衣くん!

と声を出そうと顔を上げた瞬間。

「ったく、俺らより前歩いてたくせに来るの遅──えっ?!?!誰?!そのかわいこちゃん!!」

尾崎くんの興奮した声が教室に響いた。
バチッと尾崎くんと目が合う。
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