ハツカフィルム
公園には皐月よりも早く着いた。
痛い程に照っている陽の光。
その光を眩しく反射させるアルミ製の滑り台。
涼しげに湧く噴水に、凛と咲く朝顔。
そのどれもが夏に相応しく、美しかった。

そんな風景を持ってきたカメラで一枚一枚写真に撮した。

僕の趣味は写真を撮る事だ。
小さい頃から何をやるにも失敗ばかりで、何にも全力になれなかった。

だけど、写真を撮る事だけは違った。
自分が美しいと思えた風景や瞬間を誰かと共有出来ることがとても嬉しかった。
それが僕を熱中させた何よりの理由だ。

「おまたせ!」

ちょうど朝顔にシャッターを切った瞬間、後ろから皐月の声が聞こえた。
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