イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
「あの、専務」

話に割り込むような形で呼んでしまい、汐田課長が驚いた様子で私を見た。

「なんだ?」

「そ、その急用というのは」

「ん? 気になるのか?」

今のも絶対にわざとだ。それに今の聞き方はずるい。
汐田課長がいる前でお見合いのことですか? なんて聞けるわけないじゃない。
それに、私のことでスケジュールを変更するのはよくないし、専務の体調も考えてやっぱり私のお見合いに協力してもらう件はやはりお断りするべきだ。
でもどのタイミングで言えばいいの?

「いえ、そういうわけではないというか……」

すると専務は諦めたように「わかった」と言った。
じゃあ、ゴルフコンペの方に参加? そう思ったのだが……。

「彼女のご両親に会うんだよ。だから汐田申し訳ないけど——」

「専務!?」

なんで本当のことを汐田課長にいうの?
だがもっと驚いたのは汐田課長の一言だった。

「やっぱりね」

「え?」

視線を専務から課長へと移す。

「そういうこと。だから悪いけど調整して」

「はいはい。そう言うことはもっと早く言ってくれないと」

「わるい。わるい」

え? なに? 一体どうなってるの?

なんで課長は驚かないの? 
なんで二人とも普通にはなしてるの?

「あの」

恐る恐る課長に話しかける。

「なに?」
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