囚われの小説家と使用人〜私の王子〜

私は胸を弾ませながら家を出る。そして家の近くにあるカフェへと向かった。フレンチトーストがすごくおいしいんだ。

「葵さん！お久しぶりです！」

「颯空ちゃん、久しぶり」

カフェの前に来ると、テーラードジャケットを羽織った葵さんが微笑んでいる。その頬は赤く染まっていて、私の頬も……。

「ずっと会いたかった」

「ごめんなさい。締め切りが近くて……」

私がそう言うと、ふわりと葵さんに抱き締められる。そう、私と葵さんはお付き合いを始めた。葵さんは今、真斗さんのもとで働くのをやめて会社に就職している。

「ねえ、キスしていい？」

葵さんに見つめられ、私はコクリと頷く。すると人気のない場所へ連れて行かれて、すぐに二人の距離はゼロに変わった。

私を助け出してくれたのは葵さん。彼はまるで童話の王子様みたいだ。今だって、とってもかっこいい。

私たちは何度も唇を重ねた。