ふたつの羽根
あの写真は最後に撮った、たった一枚の写真。
あたしの実の父親が今の陸の父親だなんて…
まさか…
こんな身近に居ただなんて思いもしなかった。
あたしは額を手に取り、中に入っている羽根を見つめる。
「会いたい?」
陸はタバコの火を消し“どっちでもいいよ”と言いたそうにして、あたしの顔を覗き込む。
会いたいと思う気持ち半分…
でも、会いたくないと思う気持ちも半分。
だけど結局、出てくる答えは“今さら…”って言葉。
あたしは下を向いたまま、ゆっくり首を横に振った。
「いいの?」
「うん」
そっか…
パパも新しい家庭があったんだ。
でも、いつかはパパと出会うんだろうね。
なんとなく、あたしの目が潤む。