ふたつの羽根
「ごめんね。一緒に見てなくて」
「いいよ。買うもの決まってたし」
「そんないいやつなんだ」
「まぁ俺も使った事あるけど結構いいよ」
「そうなんだ」
その後、あらゆる店を満喫し、いつものたまり場に着いた頃にはすっかり辺りも暗くなっていた。
いつものように虹色に塗られた壁に囲まれている扉を開くと拓真先輩がソファーに寝転んでいた。
先に入った陸はソファーまで近づき手にしていた袋を拓真先輩の体にトンっと当てる。
その感触に気付いた拓真先輩は眠そうな目を擦りながら上半身を起こす。
「はいよ」
陸が差し出した袋を手に取り「おーサンキュ」と言って袋の中を覗き込む。
中から取り出したシェーカーを見ながら拓真先輩はカウンターに足を進ませた。