ふたつの羽根
大きな目をパチパチとさせながら、あたしの瞳からは絶対に逸らそうとはしない。
だから逆にあたしがその瞳に恐怖心を抱きすぐに香さんから目を逸らした。
「えっ、ちょっと何言ってんの?別れんの?じゃなくて、里奈ちゃんって、そんな軽い気持ちで陸と付き合ってたわけ?」
「えっ…」
軽い気持ち?
ううん、全然軽くなんかないよ…
「ちょっとあたしに嫌み言ってんの?あたしなんて必死で必死で陸に告っても相手にされなかったのに、自分から陸に振るような言葉言って…」
“信じらんない…”
そう付け加えて香さんは、さっきまで落ち着いていた表情を投げ捨て、今度は勢いよくあたしに声をぶつけてきた。