お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
 怒っている顔から一気に青ざめ落ち込んだ顔になり、くるくると表情が変わる凛子を見て、また癒されてしまっている自分がいる。
 凛子を雑に扱われたことは許せなかったが、感情は必要ないとモノのように扱われることは昔から慣れていたので、自分のことで怒りなどはわいていなかった。
 だけど、自分のために怒ってくれる人がいるというのは……こんなにも、心が優しくなるものなのか。
 凛子という存在が、恐ろしいほどに大きくなっていく。
 彼女を見ていると、凍っていた感情が動く。
 俺は百面相をしている凛子の頬に手を添えて、そっとささやいた。
「凛子……、君が欲しい。本気で」
「え……」
 もう、手加減は一切しない。
 凛子を手に入れるためなら、他人の声など一切聞き入れない。
 俺の人生で生まれて初めて、心の底から"欲しい"と思ったのだ。
 ……偽りの形でなく、本当の意味で、すべてをかけて彼女を手に入れて見せる。
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