お見合い政略結婚~極上旦那様は昂る独占欲を抑えられない~
 好きになる前に婚約をして、思いを伝えあう前に強引にキスをされ、自分の本当の気持ちを隠したまま、彼に抱かれた。
 普通の恋愛とくらべたら、何もかも正解ではなかったかもしれない。
 だけど、何ひとつ、不正解でもなかった。
 戸惑いの中に、幸福を感じていたから。
 私もきっと、出会った日からこの人に自然と惹かれていたのだろう。
「……計算通りじゃなくて、いいですよ」
 高臣さんは、自分が自分じゃいられなくなることを、少し恐れているかのように感じて、私はそっと彼の手に自分の手を重ねる。
「私はもっと、自分本位に生きる高臣さんが、見てみたいです」
 ずっとずっと、色んな場面で自分の感情を押し殺してきたはずの彼だから。
 日本の経済を担うあの三津橋家を背負う覚悟や責任感は、到底私には想像がつかない。
 けれど、どうかそんなに遠くへ行かないでほしい。
 私といるときだけは、その重たい鎧を、全部外してほしい。
「約束してください。これから、私と一緒にいるときだけは、本当の高臣さんを見せてください」
「……凛子」
「どんな高臣さんにも、幻滅したりしないですから」
 そこまで言い切ると、息つく間もなく強引なキスが降ってきた。
 ずっと待てをされていた動物のようなキスに、体全部が浸食されていく感覚に陥る。
 そっと目を開けてみると、あの高臣さんが一切余裕のない顔をしていて、私はなぜかその表情にドキッとしてしまった。
 生意気なことを言ってしまったけれど、内心は高臣さんの行動ひとつひとつに、これ以上心臓がもつかどうか不安になっている。
「そんなに煽ることを言うんだったら、もう一切容赦しない」
「あっ……」
 するすると浴衣の帯が外されて、下着姿があらわになってしまった。
 高臣さんは私を組み敷いたまま、つーっと肌の上に冷たい指を滑らせていく。
 ただ撫でられているだけなのに、体がぞくぞくと粟立つ。
「俺がどれほど凛子だけに貪欲か、凛子はまだ全然分かってないんだな」
「高臣さっ……」
「泣いても逃がしてやらない」
「んっ……」
 高臣さんの唇が突然胸に触れて、私は思わず体をよじったが、彼はそれを許さなかった。
 触れられていない場所がないのではないかと思うほど、優しい愛撫と激しいキスが繰り返され、頭がどんどん朦朧としていく。
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