俺様社長と溺愛婚前同居!?

好きなんですか?



「結花、結花。ちょっと、聞いてる?」

 花蓮の家のダイニングルームで、隆さんが忙しそうに仕込みをしている姿を見ながら、意識がどこかに飛んでしまっていた。

 ぼんやりとする私を怪しんで、花蓮が手のひらを目の前で左右に振る。

「何ボーっとしちゃってるの?」

「え、あ……ごめん。何でもない」

「なにー、怪しいなあ。もしかして賢人さんのこと考えて腑抜けていたんじゃない?」

 花蓮に言われて、ハッとする。

 そうだ、そうだった。
 賢人さんと住み始めて一週間が過ぎた。一日一日過ぎていくたびに、賢人さんの糖度が増していっている気がする。

 ツンデレなのかと思っていたけれど、今はもうデレしかない。

 もはや、最初の塩対応が思い出せないくらい、甘やかされて大事にされて。
 料理は私の担当だし、当然後片付けもするつもりでやっているのに「結花は休んでいて」と休憩させてくれる。

 夕食のあとは、ふたりで一緒にソファに座ってテレビを見たり、音楽を聞いたり。

 今日あったことを話して、笑い合う。

 笑い合って、ふと目が合ったら、じっと意味ありげに見つめられる。

 その甘い眼差しは何?

 何を思っているの?

 そう聞きたいのに、「何でもない」と言われるのを恐れて聞けないでいる。
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