俺様社長と溺愛婚前同居!?

「今日もうちの会社に来るんだろ?」

「うん、十時すぎには行くよ。まず花蓮の家に行って、今日の仕入れを確認して隆さんの手伝いをするの」

「花蓮ちゃんの体調はどう?」

「そうだね。まだ吐き気が続いているみたいで、ご飯の炊きあがりの匂いがダメみたい」

 結花の姉である花蓮ちゃんは、俺たちの結婚を受け入れて祝福してくれた。

 実家に挨拶に行ったときも、変な反応はなく普通だった。

 ということは、ケータリングサービスHANAのために結婚したということを知らないのかもしれない。

 姉に心配をかけたくないと思って黙っているのだろう。

「ごちそうさま。俺はそろそろ行ってくる」

「うん」

 ビジネスバッグを持って玄関まで歩くと、その後ろを結花が付いてくる。

 革靴を履いて振り返ると、エプロン姿の結花がこっちを見ている。

「行ってらっしゃい。またあとでね」

 その言葉を聞いて、ふいに胸が大きく鳴る。

 そうだ、俺たちは家でも職場でも一緒。誰よりも近い存在であることを知って、柄にもなく心が大きく揺れ動いた。

 そして強く想う。

 結花が好きだ、と。

「いってきます」

 そう言って、細くて小さな結花の体を抱き寄せる。愛おしくて、言葉にできないほどの高揚を感じながら幸せを噛み締める。
 熱烈なハグをしてから、玄関を後にした。
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