俺様社長と溺愛婚前同居!?
「結花さんが、どうしてここに? このマンションにお住まいなんですか?」
「あ、えっと……仕事でここに出入りしていまして」
半分本当で半分嘘のような。
初めてあった人に詳細を言うこともないだろうと、そう伝えておくことにした。
「そうなんですか。あの、不躾なお願いなんですけど、うちにもケータリングをお願いできませんか? 最近すぐ予約がいっぱいでオーダーできなくて」
「そうなんですよ、人手不足で……」
花蓮がお休みしている今、フォローに入ってくれるスタッフが見つかったものの、以前ほどのオーダーをさばけないでいる。
なので、すぐに一日の予約が埋まってしまい、お客さんには迷惑をかけてしまっている。
「毎日仕事でヘトヘトで自炊できなくて、でも美味しいものを食べないと元気が出なくて……。お代金は多めにお支払いしますので、どうかお願いします」
「いえいえ、そんな……」
「結花さんがここに来られるときについででいいんです。どんなメニューかもお任せします、あまりものでも何でもいいので!」
うちの料理がどれだけ好きが熱弁されて、必死に頭を下げてくる様子を見ていると、断れなくなってしまった。
「分かりました。じゃあ、一人分のお料理でよければ、毎日お届けします」
「いいんですか!?」
「はい。メニューはお任せでいいんで大丈夫ですか?」
「もちろん! じゃあ、これ。私の電話番号です。部屋番号は1309です」
彼女から渡された名刺を受け取り、明日からお届けすることに決まった。