俺様社長と溺愛婚前同居!?

 お届けする時間は、夜の七時。

 賢人さんが帰ってくるまでの少しの時間を利用して、彼女一人分の食事を作ることにした。彼女の分の食材費は、彼女からいただく報酬から出すことにして、賢人さんと私の食費からは使わない。

 きっちり分けてやるなら、問題はないはず。

 これでまたひとつ取引が増えた、と喜びながら、私は家に帰ったのだった。

 翌日から始まった、神宮寺さんのケータリングサービス。

 私たちの晩御飯メニューとは別に、カロリーは抑えめなのにスタミナがあって食べ応えのある料理を提供する。

 できあがったら、「今からお届けに行きます」とメールをする。料理をHANAのテイクアウト用紙袋に入れて、一度エントランスへ下りる。そしてもう一度十三階行きのエレベーターへ乗り、神宮寺さんの家に向かった。

 緊張しながら神宮寺さんの家のインターホンを押す。

『はーい』

「こんばんは」

 中から出てきたのは、相変わらず美しい神宮寺さん。

 自分とは違う、別次元の生き物みたいに顔が小さくてスタイルがいいのが羨ましい。

 リラックスしたゆるいTシャツにショートパンツ姿なのに、すごくオシャレ。都会の女性って感じで雑誌から出てきた人みたい。

「ありがとうございます」

 心底嬉しそうに喜ばれて、こちらも嬉しくなる。
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