俺様社長と溺愛婚前同居!?

 シンクフロンティアの社員さんたちは、社外の人間だった私に優しく接してくれて感謝している。

 賢人さんが求人を行ってくれたおかげで、ケータリングサービスHANAに新しいシェフが数名入ることになり、私はシンクフロンティア専属シェフを卒業することになった。

 すごく寂しいけれど、これから花蓮の代わりにやるべき仕事があるので仕方ない。


「今日は本当におめでとうございます。結花さんが来られなくなるのはとても寂しいですが、社長の奥様になられるのでずっと交流がありますね」

「廣田さん、ありがとうございます。これからも末永くよろしくお願いします」


 社長秘書の廣田さんは丁寧に挨拶をしてくれる。チャラい川崎さんも、いろいろあった櫻井さんも、副社長の京本さんも、その他の社員さんたちも笑顔で祝福してくれた。

 シンクフロンティアの皆への挨拶が終わったあと、親族のテーブルのほうへ向かう。


「花蓮、体調は大丈夫?」

「結花!」


 お腹のあたりがゆったりとしたマタニティワンピースを着た花蓮。

 まだそこまで目立つほどお腹は大きくないものの、タイトな服は苦しいらしい。最近ではつわりも収まってきて仕事に復帰し始めている。


「結花、ドレスめちゃくちゃ似合ってる。可愛いよ!」

「ありがとう」

「結花が結婚なんて、あまり実感が湧いてなかったけど、花嫁姿を見たら泣けてくる」

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