俺様社長と溺愛婚前同居!?
笑いながら泣く花蓮の姿を見て、数年前の私を見ているような気分になった。
隆さんと結婚した花蓮の花嫁姿を見たとき、嬉しい気持ちと寂しい気持ちが入り混じって複雑な感情を味わった。
幸せな姿を見て嬉しいはずなのに、花蓮が遠くにいってしまうような気がしてならなかった。
ひとつ違いのお姉ちゃんは、いつも一緒にいるのが当たり前だったから。
「結婚しても、ずっと一緒だからね」
「そうだよね。でも、もう会社のために自分を犠牲にしようなんて思わないでよ」
最初、賢人さんとの結婚を決めたのは、HANAの存続のためだった。内緒にしていたものの、スポンサーになってもらうために、賢人さんとの結婚を決意したのだと花蓮に打ち明けた。
「うん……」
「結花ちゃんに負担をかけてごめんね。俺が花蓮と会社を支えるから、もっと頼って」
「隆さん」
「結花ちゃん、おめでとう」
花蓮の隣にいる隆さんは、レストランに来てからずっと泣きっぱなし。隆さんがこんなに涙脆い人だなんて知らなかった。
「隆は泣きすぎ。ね、賢人さん」
「……はは、確かに」
花蓮は私の隣にいる賢人さんに話を振って、泣き続けている隆さんに呆れる。
「ま、犠牲じゃなったか」
花蓮が胸の前で腕組みをして、しみじみとそんなことを言いだす。
「え? どういうこと?」
「結果オーライだもんね。結花を射止めるには、これでよかったんだと思う。……ね、賢人さん」
「欲しいと思ったものは、確実に手に入れたい性質なんで」
「さすがだわ。成功者は違うね。見習わなきゃ」