俺様社長と溺愛婚前同居!?
最初で最後の特別な時間を味わおうと、窓から外を見ていると、すぐに病院が見えてきた。
「今の時間は一般診療のやっていない時間だから、救急病院に行こう」
「はい」
オフィスから一番近い外科診療のやっているクリニックは、朝の時間帯と夕方の時間帯しか外来をやっていなかった。
なので、救急受け入れをしている大きな病院へ向かってくれたらしい。
運よく空いていたようで、病院に到着してすぐに処置をしてもらえることになった。幸い、傷はそこまで深くなく、すぐに閉じるだろうということだった。
診察が終わり、会計をしようと立ち上がると、鴻上さんに腕を掴まれて制止された。
「君は払わなくていい。仕事上の怪我だから、こちらが払う」
「でも」
「いいから」
「……ありがとうございます」
強く押し切られてしまい、そのまま彼の言葉に甘えることになってしまった。
怪我をして痛い思いをしたものの、医療用の絆創膏で覆われた人差し指を見て、ほんの少しだけ嬉しく思う。
――鴻上さんと、少しだけ話すきっかけができた。
こんなことがなければ、彼と話す時間など持てなかったかもしれない。
お会計を済ませた鴻上さんは、待合室に座って待つ私のもとへ戻ってきた。
そしてまた「行くぞ」とだけ声をかけて歩き出した。