俺様社長と溺愛婚前同居!?

 この瞬間のために仕事を頑張っているのだなと思わされて、幸せな気持ちにさせてくれる。

 いつも作ってくれてありがとう、と感謝を述べるべきなのに、なかなか言えないでいる。

 心配そうにのぞき込んでくる潤んだ瞳に見つめられて、胸の鼓動が速くなるのを感じる。

 恋愛など面倒くさいと思っていたはずなのに。
 女性と一緒にいて、いいことなどないと思っていたはずなのに。


 この子は違うかもしれない。


 そんな期待が胸の中に渦巻いて消えない。

 料理よりも美味しそうな彼女の唇に引き寄せられて、そっと近づく。

 嫌なら、俺を引っ叩いて逃げてくれ。
 彼女の頬に手を添えて、目を閉じる。

 触れ合う唇。

 想像以上に柔らかくて、甘い。

 このまま全部食べてしまいたいくらい、結花が愛おしくてたまらない。

 キスをしたら、今まで知らないふりをしていた感情が溢れだしていく。

 このまま離したくない。他の男に渡したくない。

 俺だけのものにして、俺を好きにさせたい。


 経営難に陥っていることをいいことに、結花に助けてやる代わりに結婚を提案した。

 こうでもしないと、今すぐ彼女を俺のものにできない。
 鈍感で無知な彼女には、これくらいでちょうどいい。
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