【完】爽斗くんのいじわるなところ。
やり返すって、


「……、そんなことしないよ……!」



ブンブンと首を横に振ると、



爽斗くんは姿勢をなおして顔をあげた。


目が合って、心臓がはねる。



爽斗くんは後ろ首を掻きながらふてくされたような顔をよそに向けて


「……あっそ」と呟くと長いため息を吐いた。



「お前女なんだから、簡単に俺以外の男部屋に入れない方がいいんじゃないの」



……軽蔑するような目に、ハッとさせられる。


……あたし、はしたなかったのかな。
常識無かった?



そんなふうに爽斗くんに評価されてしまったことがショックで、目が潤んでいく。



「……ごめんなさい」



何も言わずあたしの横をすり抜けて、爽斗くんはあたしの部屋に入っていく。



慌ててその背中を追いかけた。


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