【完】爽斗くんのいじわるなところ。

……そこは、真っ暗な空間。


「……え……」


きょろきょろとあたりを見渡すけど、誰もいない。



「に、仁胡ちゃん、蘭子さん……!」


当然返事はなく。


――”これから先、4つの恐怖ポイントがあってね”


――"何回も心霊現象が起きちゃって……"



意地悪な声が再生される。



……やられた。


そこを誰の力も借りず一人で行けって、そういうおもてなしだったんだ……!



――ズル,ズル……


何だか嫌な音が聞こえてきたよ……。



音のする方を見た瞬間、真っ黒の長い髪の女が床を這っていて。



「ひゃあっ!!!」



――ガシっ


叫んだあたしの足首をつかんで、見上げる真っ赤な瞳。



目が合って……。


「……呪ってやる……っ」


女性とは言い難いひどく濁った声を放たれ、



「……」



たぶんあたしはここで倒れたんだと思う。


< 308 / 388 >

この作品をシェア

pagetop