【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「……っ」


爽斗くんは何か言おうとして、口を閉じてしまった。


そんな顔も、もう見たくない。



視界を下に落として、彼が握るあたしのカーディガンに気づいた。



「……そのカーディガン、もう要らない」



腕を掴んでいた爽斗くんの指から力が抜けていく。


それを振り払ってあたしは走り出した。


追いかけてくるような音は聞こえない。


それが余計に、胸をくるしくさせた。


< 329 / 388 >

この作品をシェア

pagetop