【完】爽斗くんのいじわるなところ。
いま、俺を見上げる莉愛ちゃんは、俺の怒りに初めて触れたせいで、顔面蒼白。



「……そういうわけで、俺はサヤのことむかついて仕方ないんだよね」


「でも……爽斗くんが”早く帰りなよ”って言ったのは、追い出したわけじゃなくて、優心くんが怒られることを知ってたからじゃないかな……。心配してたんだよ……」


「だから、そういうのいらないしね」


ひるんで俯きかけた莉愛ちゃんの顎をぐっと持ち上げる。


涙の滲みはじめた瞳が、俺を映している。


「……なんでここで、サヤをかばうようなこと言うの? さすが空気よめないコミュ障だよね」


「……、」


「……莉愛ちゃんのそういうところ、サヤとおなじくらい嫌い」


莉愛ちゃんの瞳に張った涙が、ぽろりと零れ落ちた。

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