極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
3話「忘れたくない出会い」

   3話「忘れたくない出会い」

   ☆☆☆

 久しぶりに行ったミニコンサートは大盛況だった。
 畔が歌い終わると、病院内は拍手に包まれ、泣き出す人までいた。ステージから降りると、握手を求めて近づいてくる人もおり、畔が控え室に戻るまで時間がかかってしまった。けれど、歌を聞いてくれた人に「ありがとう」とより近くで言われると、感動の実感も大きくなり、畔はやってよかったな、と改めて思えた。
 
 『体調、大丈夫か?』
 『大丈夫だよ。むしろ、元気になった気がする!やっぱり歌の力はすごいね』
 『…………帰るぞ』

 控え室に戻ると、叶汰が心配そうに近寄ってきてくれた。けれど、畔が歌の話をすると顔を歪ませる。その話はしたくない、と言わんばかりだった。

 畔はその彼の表情を見ると何も言えなくなってしまい、頷いて叶汰の後ろを歩いた。


 「歌の調子もかなりよかったですね!これなら、すぐにでもコンサートが出来るんじゃないかな?」
 『ありがとうございます。早く歌いたいです』
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