極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
『こんなところだ。あいつは名前も経歴も全て詐称して、おまえを騙してた。側にいる理由なんてないだろ?』
『でも、理由を知りたいよ』
『俺が許すと思うか?』
『調べてくれて、教えてくれたのは感謝してる。でも、これは私の問題なの。それに、私はまだ椿生と別れたつもりはないわ』
『あいつに会うことは許さない』
『勝手に決めないで!』
畔がキリッと睨んで勢いよく手話をする。
と、ガタッとイスから立ち上がったのは叶汰の方だった。
そして、畔の目の前に、どこかの鍵を置いた。
『この部屋の鍵だ。家を出る時に使え。返すのは今度でいい』
『まだ、話は終わってないよ!それに、私は勝手に椿生に連絡を………』
『スマホは隠した』
『え!?』
畔はハッとしてリビングを見る。
昨夜、テーブルの上に置きっぱなしにしていた自分のスマホがない事に今更気づいた。
『叶汰!どこに隠したの!?』
『あと、おまえのマネージャーにはここに来るように伝えてあるから安心しろ』
そう言うと、イスにかけてあった薄いジャンバーを羽織り、叶汰はスタスタと玄関の方へ行ってしまう。
呆気にとられた畔は、ただただ彼の背中を見つめ、玄関のドアが閉まるのをみているしかなかった。