極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 『君に好きだと言われることが、何よりも力になるし、自信になるってやっと気づいたんだ。………畔を悲しませる嘘はつかないと誓う。だから、もう1度、恋人になって欲しい』

 畔の涙を指で拭い、畔の目元にキスをする。
 久しぶりの彼の指、そして唇の感触に体が震える。
 だが、よく考えてみればたった数日の出来事なのだ。それなの、とても長い期間会えなかったように感じてしまう。

 『別れたつもりなんてなかったですよ?だから私の恋人は椿生、あなただけです』
 『………畔。ありがとう。……愛してる。本当に君が大切だ』

 互いに額同士をくっつけて、愛を囁く。
 言葉ではない、指の動きで。
 静かな愛の言葉の後、2人は自然とキスを交わした。

 彼の笑顔、彼の指から発せられる言葉も、ぬくもりも、2人が奏でる音楽も、全てが畔にとってもう手放せないものになっている。

 やはり、彼からは離れられない。
 もう中毒のようなものだ。そんな風に思い、思わず笑ってしまう。

 『畔、どうした?』

 キスの合間に、微笑んだ畔を見て、椿生はそう聞いてくる。畔は彼に抱きつき、口の動きだけで、「キス、もっとしたいな」と言うと、椿生も少し驚いた後、畔の真似をして「もちろん」と口パクで返事をする。

 1つの曲から始まった出会いは、大きな音楽を生み、恋にまで発展した。
 その運命に感謝しながら、畔と椿生は甘い時間に酔いしれたのだった。
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