極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 『おかえり…………。やっぱり少し大きかったかな』

 畔がお風呂から上がって、恐る恐るリビングに戻ると、椿生は笑顔で出迎えてくれたが、それの表情が一瞬固まり、そして畔の恥ずかしい気持ちがうつったのか、彼も少しだけ頬を赤くした。
 すると、椿生は手で口元を隠しながら、畔に近づいた。そして、まだ濡れたままの髪に触れた。

 「好きな人が自分の服を着ているのって、すごく可愛いし………我慢出来なくなりそうだ……」
 『………?』

 彼の口が小さく動いた。
 何か呟いたようだが、畔にはわからず首を傾げる。
 すると、椿生は『俺の恋人は可愛いなーって』と、はにかみながら手話で伝えて来たので、畔は顔を真っ赤にしながらブンブンッと首を横に振った。

 『急いでお風呂に入ってくるから、髪を乾かして待ってて。一緒に寝ようね』

 そう言って、椿は熱くなった畔の頬に触れた後、脱衣所へと行ってしまった。
 彼の指が離れてしまっても、温かさを忘れることが出来ずに畔は呆然と自分の頬を抑えて彼がいる脱衣所のドアを眺めた。

 ドライヤーをかけながら、彼の手話を頭の中で反芻しては、胸を高鳴らせてしまう。
 体をバタバタと動かして恥ずかしさを発散させながら、椿生が帰ってくるのを待っていたのだった。
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