極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
19話「大切な人たち」


   19話「大切な人たち」


 『ご迷惑おかけして、すみませんでした』

 畔はそう手話で伝えた後に深く頭を下げた。
 相手はもちろん、畔の社長やマネージャーの根本だ。

 椿生の家に泊まった次の日。
 畔は自分でタクシーを使い事務所へと向かった。事務所の前には報道陣がいたが、裏口から見られないように無事に入る事が出来た。
 そして、先程社長室に呼ばれて今の状況になった。


 畔はしばらくの間頭を下げていたが、2人の顔を見なければ会話が出来ない。そのため、畔は恐る恐る顔を上げて表情を伺った。
 すると、社長と目があった。自分より少し年上の若い社長だ。敏腕と言われ、畔を発掘し育ててくれた、畔にとって大切な存在だ。彼が怒った姿を見たことがないぐらいに優しいが、今日は少し苦い顔をしているのがわかる。
 畔の初めてのスクープ報道。対応に困っているのだろう。自分の親のような存在の社長にそんな顔をさせてしまうのは、申し訳なかった。
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