極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 『つ…ば…き』 

 畔は、口を隠していた彼の手をゆっくりとよけ、その手を優しく握り返した。
 恥ずかしさを隠し、伏せ目がちになりながらも畔はゆっくりと口の動きだけで、彼の名前を呼んだ。
 すると、椿生は満足そうに笑みを浮かべ、ゆっくり頷いてくれる。

 「畔………」

 自分の名前を呼ぶ音の振動はどんな形なのだろう。もう1度手を彼の唇に寄せようとする。
 が、彼はその手を自分から唇に寄せ指先にキスを落とした。その姿がとても妖艶で、畔は体の奥がきゅんと縮まったような感覚に襲われた。

 そして、また彼にキスをされる。
 何回も何回も甘いキスを続けてされ、キスの合間に名前を呼ばれる。


 もしも、彼の声が聞こえていたならば、と。
 きっと泣いてしまうほど、感動するのだろうな。そんな風に思うのだ。

 そして、他の何の音いらないから、椿生が自分を呼ぶ声だけ、聞かせて欲しい。

 そう強く思うのだった。
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