仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
俺が車を駐車場に停めている間に、亜優は分娩室へと運ばれて行った。
「颯真君」

「お義母さん…」

「周防さん」
一人の看護師が俺を呼びに来てくれた。

俺は立ち会う為、手術用のガウンに身を包み、分娩室に入る。

「御主人が来ましたよ…周防さん」

亜優は分娩台で苦しそうに眉を顰め、陣痛と格闘していた。

「俺は何処に行けば、いいんですか?槇村先生」

「亜優さんの手を握ってあげて…もうすぐで出るから…」

助産師さんに促され、亜優の手をそっと手を握った。亜優にしては凄い力で俺の手を握って来る。

「頭が見えて来ましたよ…亜優さん…短い呼吸に切り替えて…」

ハッハッハッと亜優には言われた通り短い呼吸に切り替えた。

プレママプレパパスクールで習った呼吸法。





< 115 / 121 >

この作品をシェア

pagetop