仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
五ヶ月検診の終え、その足で新生児室に向かう。
「後五ヵ月で俺と亜優の赤ちゃんが誕生するんだな…」

妊娠五ヶ月。
妊娠期間は十ヵ月だから折り返し地点に入る。

颯真さんは硝子越しに見える他人の新生児を見て、我が子のイメージを想像していた。

「颯真さんはやっぱり最初は跡取りになる男の子がいいですか?」

「別に…元気で無事に生まれてきてくれたら…性別は問わない」


「あら?」

遥さんの姿が硝子越しに見える。
彼女は私達の元に来てくれた。

「検診?」

「あ、はい…」

「そうだ…美穂から訊いたんだけど…色々とお騒がせしたようで…ゴメンなさいね」

「いえいえ、本人からも訊きましたから…大丈夫です」

「医局長と奏弥さんの折り合い悪くなったのは‥私のせいでもあるから…」

「遥さん・・・」

「彼はこの病院にはまだまだ必要な人。私も居て欲しいと思っています」

「俺達だって…他の人達だって…そう思っていますよ…」

「颯真…さん」

「また、二人で遊びに来て下さい…」

「うん」

「行くか…亜優」


「うん」

私達は手を振り合い、別れた。



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