仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
『水天宮』は戌の日とあって、私のような妊婦さんが家族で来ていた。
安産の祈祷の受付は三時までと決まっていた。
一時半に到着し、先に受付を済ませる。
戌の日当日の祈祷の時は拝殿へ家族単位で入ると一杯になる理由で、妊婦さんだけが祈祷を受け、家族の立ち入りは禁止になっていた。
二人で祈祷を受けたかった彼は残念がっていた。

代わりに境内にある『子宝いぬ』と見に行き、二人で頭を撫で、安産のご利益を授かった。

祈祷の時間になり、拝殿へと私一人で参拝した。

祈祷の後、安産の為の授与品を受け取り、颯真さんの元に戻った。

「それは何?」

「安産の為の授与品です・・・」

私は中身を彼に見せた。

「これは腹帯、これは護符、そしてこれは御守りです」



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