仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
「御守りも貰ったのか…」

彼は私が拝殿に行っている間、安産祈願の御守りを別に購入していた。

「御守りは沢山あっても問題ないし、いいよな…」

「はい…なんなら、颯真さんに一つあげますよ」

「男の俺が持ってどうするんだ?亜優」

「冗談です」

「亜優・・・俺に冗談も言えるようになったんだな・・・嬉しいよ」

「颯真さん…」

「安産祈願もしたし…槇村先生も辞めないし・・・安心だな」

「はい」

「ほら」と颯真さんは手を出して、恥ずかしくて遠慮していた私の手を強引に掴んだ。

私達は仮面夫婦から始まった夫婦。
他の夫婦のように恋愛期間はなく、触れ合いも少ない。
「こうして、手を繋いで歩くだけでとてもドキドキします」

「俺もだよ…亜優」

「颯真さんもですか?」

「あぁ」
「そうだ・・・寒いし…今夜は鍋にしようか?亜優」
「いいですね…お鍋ですか…でも・・・ウチに土鍋ありました?」
「ないな…帰りにホームセンターで買おうか?」
「はい」






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