王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】


「この前のディナーでお願いしたはずだよ。コンペまでの三ヶ月⋯⋯いや、もう二ヶ月しかないけど、その間は一緒に過ごすって。だから、逃げないで僕のことを真剣に考えて欲しい。返事は、コンペの授賞式の日に聞かせて」


離れていく寂しげな表情を見つめていると、疑問が先に浮かんだ。


「授賞式の日⋯⋯ですか?」


そんな慌ただしい日に⋯⋯

社長は小さく頷く。


「だからそれまでは、全力で君を口説く。⋯⋯それまでは、君に恋させてよ」


夜景に照らされた笑顔は、こっちも胸を痛めるくらい寂しげで、それ以上は聞くことが出来なかった。
 
揺れる金色の睫毛。

少し寄せられた眉間の皺。

まだ何か伝えたそうな麗しい唇。

そんな真剣な表情を目の当たりにしたら、無下に扱うことなんてできるわけがなくて

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