王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

「変なこと聞いてごめんなさいね。仕事に真っ直ぐだった彼と真島なら、とってもいいコンビなんじゃないかと思ったの」


コーヒーを飲み終えた主任は立ち上がった。

私はその言葉に驚いて、弾かれたように主任を見上げる。


「今の永ちゃんは紳士面してるけど、昔はもっといじめがいがあったのよ。――じゃ、保育園のお迎えあるから、お先ね」


ワーキングママの松田主任は、コップを捨てると、爽快に立ちに去って行く。

慌てて「⋯⋯お疲れ様です」と返したけれど、その頃にはもう店内に彼女の姿は無かった。



“いいコンビ”

本当にそうだったら、どんなに幸せだろう。

でも――⋯⋯


『それまでは――君に恋させて』


後、一ヶ月だ。


少し憂いを帯びた気持ちになりつつ、残りのコーヒーを飲み干した。



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